妊娠中のお腹の張り
妊娠中にお腹の張りを感じると、赤ちゃんは『大丈夫だろうか?』『病院を受診しなくて大丈夫かな?』と心配になるものです。そこで今回は、妊娠中のお腹の張りが起こる原因と、その時の対処法、病院を受診すべき目安について、書きたいと思います。
目次
1.お腹が張るとは
お腹が張る原因はいろいろな理由が考えられますが、『妊娠中にお腹が張る』と表現する場合には、子宮の収縮によりお腹がキュッと硬くなることを指す場合がほとんどです。ただし、便秘や子宮が急激に大きくなることで靭帯が引っ張られることにより、お腹が張っていると感じる場合もあります。
子宮収縮によるお腹の張りは、人によって個人差が大きく、感じ方も人それぞれです。『きゅーっと締め付けられる感じ』『お腹がカチカチになる感じ』『下腹部の鈍い痛み』など、人により表現も違います。
妊娠中にお腹が張ると心配になる方も多いと思いますが、お腹の張りは妊娠中の誰もが感じるものです。『お腹の赤ちゃんが苦しいのでは?』と心配になるかもしれませんが、お腹の赤ちゃんは、羊水で満たされた子宮の中に、ぷかぷかと浮かんでいますので、子宮が収縮しても、赤ちゃんが押しつぶされることはありません。
このように、問題ないお腹の張りがほとんどではありますが、切迫流産や切迫早産、常位胎盤早期剥離など、危険信号であることもある為注意が必要です。
2.お腹が張る原因
お腹が張る原因は、妊娠週数によっても少し違いがあります。
妊娠初期
妊娠初期は、まだお腹の張りを感じることは少ないですが、軽い腹痛を感じる方は多くいます。その原因の多くは、子宮が急激に大きくなることによるものです。
子宮が収縮を繰り返しながら、だんだんと大きくなることによる『生理痛のような痛み』や、子宮を支えている靭帯が、引っ張られることによる『突っ張るような痛み』を感じる方が多い時期です。
妊娠中期
妊娠中期は、お腹も少しずつ大きくなり、お腹の張りを自覚する方が増えてくる時期です。
沢山歩いた時や、長時間立っていた時、夕方以降疲れている時などに感じやすくなります。張りを感じる場合でも、ほとんどは少し休むと自然に治まります。
妊娠後期
お産に向けて体が準備を始めるため、お腹の張りは徐々に増えていきます。また子宮が一段と大きくなり、お腹が張った時に自分でお腹を触ると、カチカチになっているのが、より分かりやすくなります。妊娠10か月に近づくほど、張る回数も増えていきます。
3.お腹が張る場合の受診の目安
妊娠中のお腹の張りは、ほとんどの方が経験するものであり、問題ないことがほとんどです。ただし、切迫流産や切迫早産、常位胎盤早期剥離などの危険信号であることもある為、下記を参考に、かかりつけの病院に相談しましょう。
お腹が張る時にまず試すこと
お腹が張っている時には、まずは休むのが肝心です。しばらく体を休めることで、お腹の張りがおさまった場合には、問題ない張りと考えて頂いて大丈夫です。
一方で、1時間程度休んでも、お腹の張りがおさまらない場合は要注意です。1時間に3~4回以上お腹の張りがある場合や、張る間隔が規則的で、その間隔が徐々に短くなっている場合には、切迫流産・切迫早産の可能性があるため、早めにかかりつけの病院を受診しましょう。お腹の張りや痛みと共に出血も認める場合には、すぐにかかりつけの病院を受診してください。
また、妊娠後期に急にお腹が張り始め、カチカチの状態がずっと続いている(通常のお腹張りは数分で一旦おさまります)場合には、常位胎盤早期剝離の可能性があります。常位胎盤早期剝離の場合には、早急に対応が必要になりますので、すぐにかかりつけの病院を受診してください。
お腹が張るときに病院を受診すべき目安
- 1時間程度休んでも張りがおさまらない
- 張る間隔が規則的で、その間隔が徐々に短くなっている
- お腹の張りと共に出血がある
- お腹がカチカチの状態が柔らかくなることなくずっと続いている
4.まとめ
今回は妊娠中のお腹の張りについて書きました。
妊娠中のお腹の張りは、ほとんどの方が感じるものであり、心配ない張りであることがほとんどです。ただし、自分では『心配のない張り』なのか、『心配な張り』なのか、判断できないこともあると思います。そんな時には遠慮せず、かかりつけの病院へ相談しましょう。