不妊(妊活)相談で病院を受診した方がいいタイミングは?
一般的に、1年以上妊活をしても妊娠しない場合を不妊症と定義しています。
そのような場合には、一度病院やクリニックを受診することが推奨されています。
しかし1年待たずに相談して頂いた方がいいケースもあります。
そこで今回は、『相談に行くべきタイミング』に迷われている場合の目安になるような内容で記事を書きたいと思います。
年齢別の1周期あたりの妊娠確率
健康上問題のない男女が避妊をせずに排卵日付近で性交渉をした場合の1周期での妊娠確率は20~30%と言われています。
計算上は月経周期4~5回程度で妊娠するということになります。
しかし、この妊娠確率は年齢によっても大きく異なります。
年齢別の妊娠確率は下記の通りです。
年齢 | 妊娠確率(1周期) |
---|---|
20代 | 約25~30% |
30~34歳 | 約25~30% |
35~39歳 | 約18% |
40~44歳 | 約5% |
45歳以上 | 約1% |
年齢 | 妊娠確率(1年間) |
---|---|
20~24歳 | 86% |
25~29歳 | 78% |
30~34歳 | 63% |
35~39歳 | 52% |
40~44歳 | 36% |
45~49歳 | 5% |
参考:M. Sara Rosenthal. The Fertility Sourcebook. Third Edition
表を見て頂くとわかるように、30代後半以降は、妊娠確率が急激に低下して行きます。
その為、相談に行くべきタイミングは、年齢によっても変わってきます。
特に35歳以降から妊活を開始した場合には、1年待つことによりより妊娠確率が下がってしまうため、半年程度を目安に一度相談されることをお勧めします。
不妊相談、妊活相談に行くべきタイミングは?
まず最初にお伝えしたいことは、不妊相談に行くタイミングに絶対的な正解はないということです。
早すぎるということもないですし、遅すぎるということもありません。
その前提があった上で、下記のような場合には一度相談されることをお勧めします。
1年以上の妊活で妊娠しない場合
冒頭でお伝えした通り、1年以上の妊活をしていて妊娠しない場合を不妊症と定義しています。
その為、このような場合には、不妊症の原因となっている病気が隠れていないかを検査することが必要です。
基礎体温が2相性ではない、排卵検査薬で陽性が出ない場合
基礎体温が2相性ではない場合や、排卵検査薬で陽性が出ない場合には、排卵が上手く行っていない可能性があります。
排卵しないことには妊娠のチャンスがありませんので、そのような場合には早めに相談するようにしましょう。
月経周期が不順な場合
月経周期が不順な場合、排卵が上手く行っていない、もしくは排卵が不規則である可能性があります。
排卵日がある程度予測できないことには、排卵時期に合わせて性交渉を行うことが難しい為、早めに相談することをお勧めします。
性交痛や性交障害がある場合
性交痛や性交障害がある場合、思うように性交渉を行うことが出来ません。
また、性交渉自体が苦痛になってしまい、それにより夫婦関係に亀裂が入ってしまうことも少なくありません。
デリケートな問題であるが故、誰にも相談できずに、一人で抱え込んでしまい、辛い思いをされている方も多くいます。
このような状況の場合には、一人で抱え込まず、早めに相談して下さい。
年齢が35歳以上の場合
年齢と共に妊娠率は低下して行きます。
その為、特に35歳以上の場合には、1年を待たず半年程度を目安にして頂き、早めに受診して頂くことをお勧めします。
妊活を開始する前に、男女共に不妊となるような原因がないかどうか調べたい場合
まだ妊活を開始していないけれど、事前に不妊の原因となるような病気がないか調べておきたい場合もあると思います。
そのような場合には、不妊ドックを受けて頂き、不妊の原因になるような病気がないかどうか確認した上で、妊活を開始して頂くことも可能です。
まとめ
今回は不妊相談に行くべきタイミング、というテーマで書きました。
相談に行くべきタイミングに迷われているご夫婦の、お役に立てれば幸いです。
尚、不妊相談や妊活相談に早すぎるということはありません。
妊活や不妊はデリケートな問題であり、なかなか人に相談できず、一人で抱え込んでしまうケースが少なくありません。
そんな時に相談に乗ることが出来るのが産婦人科医ですので、心配なこと、困っていること、相談したいことがあれば、お気軽にご相談下さい。
夫婦の形がそれぞれ違うように、妊活についての考えも夫婦によって千差万別です。
世間一般の『正解』ではなく、ご夫婦にとってのベストな方法を、一緒に考えて行きましょう。