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妊娠中の適正な体重増加は?体重管理の方法も

[2023.06.26]

妊娠中の体重増加は、多くの方が気にするところかと思います。
ここ最近は、体重が増えすぎてしまう以外に、なかなか体重が増えずに困っている方もいます。
そこで今回は、妊娠中の適正な体重増加の目安と共に、どのように体重管理を行って行けばいいのか、その方法についてもお伝え出来ればと思います。

1,妊娠中の適正な体重増加は?

妊娠中は、妊娠前の体型に応じて、推奨される適正な体重増加があります。
適正な体重増加とは、『妊娠前から出産までの間に、これくらい体重を増やしましょう』という目標です。
妊娠前の体格別に、妊娠中の様々なリスクが最小になる体重増加量が検討され、2021年に日本産婦人科学会が基準の改訂を行いました。

妊娠前体格 BMI(kg/m2) 改定後の体重増加目安 改訂前の体重増加目安
低体重 <18.5 12~15kg 9~12kg
普通体重 18.5~24.9 10~13kg 7~12kg
肥満(1度) 25~29.9 7~10kg 個別対応
(上限5kg程度が目安)
肥満(2度以上) 30≦ 個別対応
(上限5kgまでが目安)
個別対応
(上限5kgまでが目安)

この表を見るとわかるように、改訂前と比べて改訂後は、『もっとしっかり体重を増やしましょう』という流れになってきています。

尚、1週間毎の体重増加で考えると、大体300~500g/週程度の増加が目安となります。
少なくとも週に1回程度は体重計に乗り、自分の体重を把握しておくことが大切です。

2,妊娠中に体重が増えすぎてしまうことのリスク

妊娠中は赤ちゃんや胎盤、羊水の分の体重増加に加え、脂肪の蓄積も必要であり、ある程度の体重増加が必要不可欠です。

しかし、太り過ぎてしまうと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といった病気にかかるリスクが高まります。
その為、お母さんと赤ちゃんの為にも、過剰な体重増加を防ぐ必要があります。

体重が増えすぎることのリスク1【妊娠高血圧症候群】

妊娠高血圧症候群とは、妊娠前には高血圧がなかったにも関わらず、妊娠中に高血圧になる病気です。

妊娠中の過剰な体重増加は、妊娠高血圧症候群になるリスクを上昇させると言われています。
妊娠高血圧症候群は重症化すると、お母さん側に子癇(意識消失と痙攣発作)や脳出血を起こしたり、胎盤の機能が低下することで、赤ちゃんの発育不全、常位胎盤早期剥離(胎盤が出産より前にはがれてしまう)、胎児死亡などを起こすことがあります。

体重が増えすぎることのリスク2【妊娠糖尿病】

妊娠糖尿病とは、妊娠前には糖尿病がなかったにも関わらず、妊娠中に血糖値が高くなる病気です。

妊娠中の過剰な体重増加は、妊娠糖尿病になるリスクを上昇させると言われています。
妊娠糖尿病によりお母さんの血糖値が高い状態が続くと、赤ちゃんの先天奇形や子宮内胎児死亡、発育遅延、胎児死亡などを起こすことがあります。

また、赤ちゃんが巨大児(必要以上に大きくなってしまう)になるリスクが上昇し、難産のリスクも高まります。

さらに、妊娠糖尿病のお母さんから生まれた赤ちゃんは、肥満体質になりやすく、メタボリックシンドロームになるリスクが高くなると言われています。

体重が増えすぎることで起こるリスク【その他】

出産合併症

産道に脂肪がつき過ぎることで、赤ちゃんが下りてきにくくなったり、分娩が長引いたりし、帝王切開が必要になる可能性が増えます。

妊娠中のマイナートラブル

妊娠中に体重が増えすぎると、体を支える膝や腰への負担も増えます。
その為、腰痛や膝の痛みなどのマイナートラブルが増えます。

このように、過剰な体重増加は、お母さんと赤ちゃんの両方に、様々な影響を与える可能性があります。
適正な体重コントロールを行い、これらのリスクを抑えることが大切です。

3,妊娠中に体重が適正に増えないことのリスク

妊娠中は体重が増えすぎる方が注目されがちですが、妊娠中に体重が適正に増えないことも、様々なリスクを上昇させます。
特に日本では、若年女性のやせ願望が問題視されており、妊娠中のエネルギー摂取不足による、低出生体重児の出生率が増加しています。

体重が適正に増えないことのリスク1【お母さんが栄養不足になる】

妊娠中は、お母さんよりも赤ちゃんへ、優先的に栄養を届けるようになっています。
その為、必要な栄養を十分に摂取しないと、お母さんの体力不足、免疫力低下、貧血などを引き起こします。

体重が適正に増えないことのリスク2【赤ちゃんが低体重で産まれる】

赤ちゃんは胎盤を通してお母さんから栄養を貰っています。
その為、妊娠中にお母さんが栄養を十分に摂取出来ていないと、当然赤ちゃんも栄養不足になります。その結果として、
低体重児(2,500g未満)で産まれてくるリスクが高まります。

体重が適正に増えないことのリスク3【赤ちゃんが将来生活習慣病にかかりやすくなる】

様々な研究結果から、胎児のときに十分な栄養が摂れなかった赤ちゃんは、将来の生活習慣病リスクが高くなることがわかっています。

このように、体重が適正に増えないことは、お母さんと赤ちゃんの両方に影響を与える可能性があります。
体重の増えすぎだけでなく、痩せすぎにも注意しながら、体重コントロールを行うことが大切です。

4,妊娠前の体重管理も必要か

ここまで妊娠中の体重増加についてお話して来ましたが、妊娠前の体型は関係ないのかというと、そうではありません。
妊娠前に肥満だった女性は、妊娠後に適正な体重増加に抑えたとしても、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開率が高いことがわかっています。
また、妊娠前にやせ型だった女性は、妊娠後に適正な体重増加があっても、低出生体重児を出産する確率が高いことがわかっています。

その為、妊活中から標準体型を維持できるよう、バランスの取れた食事や、適度な運動を心がけましょう。

5,太り過ぎてしまう場合の体重管理のコツ

妊娠中は赤ちゃんがお腹にいるため、過激な食事制限や、過激な運動はよくありません。

太り過ぎてしまう場合の体重管理のコツ1【運動】

つわりが終わる妊娠中期は、妊娠前よりも、より一層食べ物がおいしく感じる時期です。
そのため、急激に体重が増えてしまうお母さんが多いのもこの時期です。

妊娠中期は安定期とも言われ、妊娠経過に問題がなければ、運動を開始してよい時期です。
積極的に運動を取り入れて行きましょう。

妊娠中の運動についての詳しい内容はこちら

太り過ぎてしまう場合の体重管理のコツ2【食べたものを書き出す】

妊娠中は通常時と比べ必要なエネルギー摂取量が増えます。

  • 妊娠初期:+50kcal
  • 妊娠中期:+250kcal
  • 妊娠末期:+450kcal

その為、妊娠前よりも食事量が適正に増えることは自体は、問題ありません。

ただし、いつもより沢山食べていいからと、間食に毎回甘いものを食べているというケースも。
例えば、ショートケーキ1切れは、350~400kcal程度あります。
気づかないうちに、食べ過ぎているというケースもあります。
その為、自分が食べているものを書き出すことは、とても大切です。

『体重が急激に増えてしまって困っている』という場合には、まず1週間自分の食べたものを書き出してみましょう。
そうすると、ここ最近『間食が増えすぎてしまったかも』『外食で食べ過ぎてしまったな』など、原因が見えてくることがあります。

8,体重が増えない場合の体重管理のコツ

やせ型の女性は、元々食が細い人も多く、『そんなに食べられない』と困ってしまうお母さんもいます。
また、つわりでさらに痩せてしまったというケースも。

それに加えて妊娠後期になると、子宮が大きくなることで他の臓器が圧迫されてしまい、『すぐにお腹がいっぱいになってしまう』『食べ過ぎると気持ち悪くなってしまう』という方もいます。

このような状況で、体重がなかなか増えずに困っている場合には、1回に沢山の量を食べることは難しいので、食事を小分けにし、こまめに栄養を摂るのがお勧めです。
そんなに何回も料理を作るのは、時間的にも難しいという方も多いと思います。
そのような場合には、1日3食以外に、小さなおにぎりや焼き芋を持ち歩いて、間食として食べるだけでも十分です。

尚、体重を増やそうとして、甘いものや脂っこいものばかり食べてしまうと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高まってしまう可能性がありますので注意しましょう。

9,まとめ

今回は妊娠中の体重管理について書きました。
体重管理は、妊娠前から行うことが大切です。
適正体重を維持できるよう、食事に気をつけながら、運動も取り入れて、健康管理をしていきましょう。
そして、妊娠中も栄養バランスに気をつけながら、適正な体重が維持できるように心がけましょう。

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