避妊相談
日本で最も多く選択されている避妊方法はコンドームです。
しかし、コンドームは正しく装着できていたとしても、2~15%で避妊に失敗するというデータがあります。
また、中絶を受けた女性の1/4は、コンドームを使用していたという報告もあります。
現在はコンドームより確実に避妊出来る方法がありますので、お気軽にご相談下さい。
当院では以下の3つでの避妊が選択出来ます。
緊急避妊薬に関しては、あくまでの緊急の場合ですので、継続して避妊をご希望される場合には、低用量ピルもしくは子宮内避妊具となります。
低用量ピル
低用量ピルとは
低用量ピル(以下『ピル』という)とは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが含まれているお薬のことを指します。
ピルを内服することで排卵が抑えられるため、正しく内服すれば避妊効果は99%以上です。
コンドームと比較してはるかに高い避妊効果があり、かつ男性主導ではなく女性主導で避妊することが出来ます。
*月経困難症やPMS(月経前症候群)の治療を目的に、保険適応で処方できる場合もありますので、症状がある場合にはご相談下さい。
ピルはこんな方にお勧め
- 避妊効果の高い方法で避妊したい
- 予定に合わせて生理をずらしたい
- 生理周期を安定させたい
- 生理の出血量を減らしたい
ピルの効果
避妊以外にも以下のような作用が期待できます。
- 月経周期が規則的になる
- 月経時の出血が少なくなる
- 月経痛やPMS(月経前症候群)が改善する
- 生理前の肌荒れやニキビが改善する
- 卵巣がんや子宮体がんのリスクが軽減する
ピルの副作用
ピルの服用を始めると、体内のホルモンバランスが今までと変わります。
今までと違うホルモンバランスに体が慣れるまでの数か月は、以下のような副作用が出やすくなります。
- 軽い吐き気
- 乳房の張り
- 倦怠感
- 軽い頭痛
- 不正性器出血
多くの場合、数か月で改善することが多いですが、改善しない場合には他の種類のピルを試す、もしくは他の避妊法に変更することも出来ます。
注意が必要な副作用
血栓症
ピルを内服した場合、血栓症のリスクがわずかに高まると言われています。
特に飲み始めてから3か月以内に多いと言われています。
以下の症状に気づいたら、必ず服用を中止し、すぐに医師にご相談下さい。
血栓症を疑う症状(ACHES)
- A:abdominal pain(激しい腹痛)
- C:chest pain(激しい胸痛、息苦しさ、押しつぶされるような胸の痛み
- H:headache(激しい頭痛)
- E:eye/speech problems(見えにくいところがある、舌のもつれ)
- S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み、押すと痛い)
その他にも、ピルの内服を避けた方がいい場合がありますので、必ず医師の診察を受けた上で内服を開始しましょう。
ピル処方の流れ
1,予約
Webで予約をお取りください。
*受診の際、1年以内の健康診断の結果があれば、お持ちになってご来院ください。
2,問診
ピル内服前に確認が必要な項目についてお伺いします。
3,診察
状況に応じて、血液検査や内診を行います。
4,ピルの処方
いくつか種類があるため、お一人お一人に合わせ、適切なピルを選択します。
ピルの内服方法や、ピルを内服する上での注意点をご説明します。
初回は1か月分のお渡しとさせて頂き、ピルを飲み切る前に再度受診して頂きます。
副作用など確認させて頂き、問題がなければ最大3か月分処方することが出来ます。
ピルの価格
当院では、ピルの価格は1シート2500円~3000円(税込み)です。
ピルの種類により異なりますので、下記の料金表にてご確認下さい。
それに加えて初診の場合には初診料2000円(税込み)、それ以降は再診料550円(税込み)がかかります。
保険適応のピルの場合には、保険点数に応じた金額となります。
月経困難症やPMS(月経前症候群)などの症状がある場合には、保険適応のピルを処方出来る可能性がありますので、ご相談下さい。
ピル初診料 | 2,000円 |
---|---|
ピル再診料 |
550円 |
マーベロン | 3,000円 /1シート |
トリキュラー | 3,000円 /1シート |
ファボワール(マーベロンのジェネリック医薬品) | 2,500円 /1シート |
ラベルフィーユ(トリキュラーのジェネリック医薬品) | 2,500円 /1シート |
※税込価格
ピルと性感染症
ピルは避妊効果としては99%以上と非常に高く、避妊という意味では他の避妊法を併用する必要はありません。
一方で、性感染症を予防する効果はありません。
性感染症予防にはコンドームです。
感染しない、大切な人に感染させないために、コンドームを使いましょう。
子宮内避妊具(ミレーナ)
子宮内避妊具(ミレーナ)とは
子宮内避妊具(ミレーナ)とは、その名の通り、子宮の中に入れる避妊具のことを言います。
T字の形をしており、やわらかいプラスチックでできています。
避妊効果は、正しく挿入されていれば、ピルと同等もしくはそれ以上と言われており、100%に近い避妊率です。
また、1度挿入すると5年間はそのまま入れておくことが出来るため、毎日内服が必要なピルと比較して、管理が楽であるという点が大きなメリットです。
ただし、子宮内に入れる避妊具であるため、経腟分娩のご経験がない場合には、挿入時に強い痛みを感じることがあります。
経腟分娩のご経験がない方は、まずはピルを試すことをお勧めしています。
*今までは避妊目的で用いられてきましたが、月経困難症や過多月経の治療として保険適応となりました。
症状がある場合にはご相談下さい。
ミレーナはこんな方におすすめ
- 経腟分娩の経験がある
- ピルが内服できない
(ピルが合わない、ピルが禁忌な項目に当てはまっている) - ピルを頻回に飲み忘れてしまう
ミレーナの効果
避妊以外にも、以下のような作用が期待できます。
- 月経時の出血が少なくなる
- 月経痛が改善する
ミレーナの副作用
挿入後は数日間、下記のような副作用が起こる場合があります。
- 下腹部痛
- 腰痛
- 不正性器出血
下腹部痛は多くの場合1週間以内におさまることが多いですが、不正性器出血は長引くことがあります。
1か月程度でおさまる場合も多いですが、3~4か月、長いと半年程度続く方もいます。
また、ミレーナ挿入後、約10%に自然脱出(ミレーナが抜けてしまう)が、約0.1%に子宮穿孔(子宮の外にミレーナが出してしまう)が起こると言われていますので、挿入後は医師の指示に従い、定期的な受診が必要です。
最初の1年は挿入後1か月後、3か月後、6か月後、1年後に受診して頂きます。
1年後以降は、問題なければ1年毎の受診となります。
ミレーナを挿入できないケース
- 未治療の性感染症がある
- 子宮外妊娠の既往がある
- 診断の確定していない不正性器出血がある
その他にも、子宮の入り口が狭い・曲がりが強いなどで、ミレーナが挿入できない場合もあります。
まずは医師にご相談下さい。
ミレーナ挿入の流れ
1,予約
Webで予約をお取りください。
*受診の際、1年以内の健康診断の結果があれば、お持ちになってご来院ください。
2,問診
最終月経、性交経験の有無、妊娠出産歴、病歴などをお伺いします。
ミレーナについて説明させて頂きます。
3,内診
子宮や卵巣に病気がないかどうか確認するためエコー検査を行います。
クラミジアなどの性感染症に感染していると、ミレーナを挿入することで感染を骨盤内に広げてしまう危険性があるため、性感染症検査を行います。
4,次回予約
診察の結果、ミレーナの挿入が可能と判断させて頂いた場合には、生理が始まった日を1日目とし、4~7日目に再度予約をお取りの上、ミレーナ挿入のために受診して頂きます。
月経開始後に再度ご予約をお取りください。
5,ミレーナ挿入
月経開始後4~7日目で来院して頂き、ミレーナを挿入します。
- 内診台に乗って頂き、エコー検査で子宮の向きや子宮の大きさを確認します。
- 膣を広げる器具を挿入します。
- 子宮の位置を安定させるため、子宮の出口を器具でつかみます。
- ミレーナが入った細いチューブを子宮の中に挿入し、ミレーナを子宮の中に入れます。
6,会計
会計がお済になりましたら、お帰り頂けます。
7,挿入後
1か月にミレーナの位置や副作用の確認のため、再度受診が必要です。
ミレーナ挿入時の痛み
ミレーナを挿入する時には、ミレーナが中に入ったプラスチックのチューブを子宮の中に挿入します。
経腟分娩のご経験があり、子宮の入り口がある程度開いている方の場合には、痛みがほとんどないこともあります。
ただし、多少の下腹部痛があると思って頂いた方がよいかと思います。
経腟分娩のご経験がない方の場合には、子宮の入り口が狭いことが多く、挿入時の痛みが強くなる傾向にあります。
挿入後にご気分が悪くなられた場合には、ベッドでしばらく横になって頂くことが可能ですので、遠慮なくご相談下さい。
ミレーナの価格
当院では、ミレーナの挿入は66,000円(税込み)となります。
そちらに加えて初診の場合には初診料3,000円(税込み)、再診の場合には再診料1,500円(税込み)がかかります。
1度にかかる費用は高いですが、5年間挿入出来ることを考えると、ピルよりも総額は安くなります。
保険適応でのミレーナ挿入の場合には、保険点数に応じた金額となります。
月経困難症や過多月経などの症状がある場合には、保険適応になる可能性がありますので、ご相談下さい。
ミレーナと性感染症
ミレーナは避妊率が99%以上と非常に高く、避妊という意味では他の避妊法を併用する必要はありません。
一方で、性感染症を予防する効果はないため、性感染症予防にはコンドームの併用が必要です。
感染しない、大切な人に感染させないために、コンドームを使いましょう。
緊急避妊薬
緊急避妊薬とは
アフターピルとも呼ばれており、避妊せずに性交渉をしてしまった、避妊に失敗してしまったと時に、緊急措置として使うことの出来る避妊薬です。
性交渉を行った72時間以内に服用することで、妊娠阻止率は70%以上です。
早く内服するほど、妊娠を阻止する効果は高くなります。
緊急避妊薬はこんな方におすすめ
- 避妊しないで性交渉をした
- コンドームが破れた、外れた、漏れた
- きちんと避妊してもらえたかわからない
緊急避妊薬の効果
当院ではレボノルゲストレル錠という緊急避妊薬を処方しています。
以前は日本国内に緊急避妊薬がなかったため、プラノバールという中容量ピルを用いて緊急避妊をしていました。
しかしこの方法では、妊娠阻止率が低いこと、吐き気・嘔吐などの副作用が強く出ることから、現在ではレボノルゲストレル錠が主流となっています。
緊急避妊薬には以下の効果があります。
- 排卵を遅らせる
⇒緊急避妊薬を内服することで、排卵が数日抑えられます。 - 受精卵が子宮に着床するのを防ぐ
⇒子宮内膜の増殖を防ぐことで、受精卵が着床するのを防ぎます。
緊急避妊薬の副作用
下記のような副作用が現れる可能性があります。
- 吐き気、嘔吐
- 頭痛
- 倦怠感
- 胸の痛み
- 下腹部痛
- 不正性器出血
最も多い副作用は吐き気です。万が一、内服後すぐに嘔吐してしまった場合には、薬が十分に効かない可能性があります。
服用後2~3時間以内に嘔吐してしまった場合には、再度処方が必要になりますので、ご連絡の上再度受診をお願いします。
緊急避妊薬処方の流れ
1,予約
Webで予約をお取りください。
予約がいっぱいで、72時間以内に来院できない場合には、お電話を頂ければと思います。
状況にもよりますが、ご予約が可能なお時間をご案内させて頂きます。
2,問診
最終月経、性交渉の日時などをお伺いします。
緊急避妊薬の内服方法、副作用などについて説明します。
緊急避妊はあくまでも『緊急時』に使用するものであり、今後の避妊方法に関する提案もさせて頂きます。
3,緊急避妊薬の内服
内服忘れや内服間違いがないよう、院内で内服して頂きます。
4,会計
会計がお済になりましたら、お帰り頂けます。
緊急避妊薬の価格
当院では、緊急避妊薬は8,800円(税込み)となります。
そちらに加えて初診の場合には初診料3,300円(税込み)、再診の場合には再診料1,500円(税込み)がかかります。
自費のため、保険証は不要です。
また、未成年であってもご両親の同席なしに処方が可能です。
緊急避妊薬内服後の注意点
緊急避妊薬を内服することで排卵は遅延しますが、その後遅れて排卵が起こる可能性があります。
その為緊急避妊薬内服後は、消退出血が起こるまでは性交渉を控えることをおすすめします。
緊急避妊薬内服後も性交渉の機会がある場合には、緊急避妊薬内服後、翌日から低用量ピルの内服を行い、避妊を行うことをおすすめします。
ご希望の場合にはご相談下さい。
妊娠が回避できたかどうかの判定
一般的には、生理予定日前後に通常通り出血があれば、妊娠が回避できた可能性が高いです。
ただし、緊急避妊薬を服用することで、副作用として不正出血が起こることがあるため、性交渉から3週間後に市販の妊娠検査薬で陰性を確認するようにしましょう。
今後の避妊方法について
緊急避妊薬はあくまで緊急時に使うものです。
避妊に失敗する度に、緊急避妊薬を内服すればいいという訳ではありません。
緊急避妊薬での妊娠阻止率は、低用量ピルや子宮内避妊具と比較して低いため、妊娠を希望していない場合には、別の方法での避妊を考えましょう。
当院では、避妊率が99%以上の低用量ピルもしくは子宮内避妊具(ミレーナ)をお勧めしています。
一緒にベストな方法を考えましょう。