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【不妊治療の保険適応】メリット・デメリットは

[2022.08.31]

2022年4月より、不妊治療が保険適応となりました。
実際には、不妊検査や不妊治療の一部は今までも保険適応でしたが、保険適応の範囲が大幅に拡大しました。

具体的には何がどう変わったのか。保険適応で治療を行うための条件や制限、保険適応になったことによるメリット・デメリットについて、詳しくご紹介します。

目次
  1. 不妊治療の種類
  2. 新しく保険適応になったもの
  3. 保険適応の条件
  4. 保険適応になったことによるメリット
  5. 保険適応になったことによるデメリット
  6. 不妊治療が保険適応になったことで、高額療養費制度の対象に
  7. まとめ

1.不妊治療の種類

不妊治療は大きく分けると、タイミング法、人工授精、体外受精の3つに分かれます。

(ア) タイミング法

妊娠しやすい最適な日に性交渉を持てるように、診察した上で指導することを言います。

(イ) 人工授精

排卵時期に合わせて、洗浄濃縮した精子を子宮内へ直接注入する方法です。人工という言葉がつくので、人工的に受精させるような印象を受けますが、子宮内に精子を送り込んだ後は、自力で精子が卵子と出会い、受精する必要があるため、名前とは違い比較的自然に近い方法と言えます。

(ウ) 体外受精

採卵して得られた卵子と精子を体外で受精させ、しばらく外で培養した胚を直接子宮内に移植する方法です。不妊治療の中で、現段階では最も高度な治療となります。

2.新しく保険適応になったもの

今までも保険だったもの:不妊検査、タイミング法の一部
新しく保険適応になったもの:人工授精、体外受精

今までも不妊検査やタイミング法の一部は保険適応でしたが、それに加えて、費用負担の大きかった人工授精や体外受精も保険適応になりました。

3.保険適応の条件

まずは共通の条件として、婚姻関係もしくは事実婚であることが必要です。

その上で、下記のような年齢制限・回数制限があります。

人工授精

年齢制限なし 回数制限なし

体外受精

初回が40歳未満の場合は通算胚移植6回まで(1子あたり)
初回が40歳以上43歳未満の場合は通算胚移植3回まで(1子あたり)
(ただし43歳を超えたら新しい周期には入れません)

4.保険適応になったメリット

(ア) 患者の経済的な負担が減った

特に体外受精の場合、今までは費用が高額であったため、不妊治療をしたいけれども、費用が高いから諦めるというカップルが沢山いました。それが保険適応になったことで、3割負担となり、経済的な負担が減ったことで、治療を断念していたカップルが治療を行うことが出来るようになりました。

(イ) 施設間での治療費の差がなくなり、希望の施設を選べるようになった

今までは自費治療であったため、施設間で自由に金額が設定出来ていました。そのため、費用が高額な施設もあればリーズナブルな施設もありました。しかし保険適応に伴い、どの施設で治療を受けても費用が一律になったため、カップルが希望する施設での治療が可能となりました。

5.保険適応になったデメリット

(ア) 混合診療ができないため、保険適応外の薬や治療が行えなくなった

混合診療とは、保険の治療と自費の治療を同時に行うことを言います。不妊治療に限らず、日本では混合診療はできないことになっています。その為、保険での治療中に、保険適応になっていない検査をしたいと思ってもすることは出来ませんし、保険適応でない薬剤を使用することも出来ません。

不妊治療で使用される薬剤や検査が、すべて保険適応になっていれば問題はないですが、まだまだ保険適応でないものも多いのが現状です。

(イ) 保険適応外の治療が必要な方の中には、以前の助成金制度であれば受け取れた方もいる為、逆に負担が大きくなってしまった人もいる

保険適応外の薬や検査を希望した場合には、すべてが自費となってしまいます。そういった方の中には、助成金であれば受け取れたというカップルもいるため、そういったカップルにとっては、自己負担が大幅に増えてしまいます。

6.不妊治療が保険適応になったことで、高額療養費制度の対象に

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた分を支給する制度です。この制度は保険での治療のみが対象になるため、今までは自費の体外受精は適応ではありませんでした。しかし、保険適応となったことで、今後はこの制度の対象となります。ひと月の上限額は所得水準によって決まっているため、自分がどの区分に入るのかを把握しておきましょう。

特に体外受精の場合には、上限額を超えることが多いため、制度をしっかりと理解し、支給対象かどうか確認することが大切です。問い合わせ先は、ご自身がどの医療保険制度に加入されているかによって変わります。お持ちの被保険者証で、保険者の名前を確認し、わからないことがあれば、問い合わせることをお勧めします。

7.まとめ

不妊治療が保険適応になったことで、患者の経済的な負担は減り、明らかに不妊治療を行うハードルは下がりました。実際に、保険適応になったことで、若い方の受診も増えています。

しかし一方で、保険では使えない薬を使用する必要があり、全額自費で治療を行わざる負えない人や、逆に保険で治療を行うために、ベストな方法での治療を諦めざる負えない人もいます。

今後、改善していかなければならない課題は残しつつも、不妊に悩む多くのカップルにとって、保険適応は朗報であることは間違いありません。

『妊活しているけど、なかなか妊娠しない』
『このまま妊活続けていていいのかな』

そんな不安があれば、ぜひ一度婦人科を受診してみてください。
子供が欲しい女性が一人でも多く、妊娠されることを願っています。

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