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赤ちゃんを守る!妊娠中に受けることの出来る「RSウイルス」と「百日咳」ワクチンとは?

[2025.04.29]

こんにちは。
今回は、赤ちゃんが生まれる前にお母さんができる大切な感染症予防についてのお話です。

妊娠中に接種することで、生まれてくる赤ちゃんを守れる2つのワクチン——RSウイルスワクチン(アブリスボ®)と百日咳ワクチン(トリビック®)について、詳しくご紹介します。

RSウイルスワクチン(アブリスボ®)

RSウイルス感染症とは

RSウイルスは、乳児や幼児の重篤な呼吸器感染症の主な原因の一つです。特に、生後6ヶ月未満の赤ちゃんは免疫力が未発達なため、感染すると重症化しやすく、入院や呼吸補助が必要になることもあります。

妊娠中にワクチンを打つメリット

 妊娠中にRSウイルスワクチン(アブリスボ®)を接種することで、お母さんの体内でできた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行します。

 

これにより、生まれてすぐの赤ちゃんが、RSウイルスに感染するリスクと重症化するリスクを低減させることが出来ます。

 

複数の臨床試験にて効果は実証されており、RSワクチンを接種しなかった場合と比べて、乳児のRSウイルス感染症を発症するリスクが50%減り、重症化リスクが80%減ると報告されています。

RSウイルスワクチン(アブリスボ®)の安全性は?

RSウイルスワクチンは比較的新しいワクチンのため、現在も臨床試験や観察研究が進行中です。しかし、これまでのデータや国際的な専門機関のガイドラインで、妊娠中のRSワクチン接種は安全であるとされています。 世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)も、妊娠中のRSワクチン接種を推奨しています。

 

今までに報告されている臨床試験でも、妊娠中にRSウイルスワクチンを接種しても、流産や早産、先天異常のリスクに変化は認められませんでした。また、接種による副反応も軽度であり、重篤な副作用はほとんど報告されておりません。

 

これらの結果から、妊娠中のRSウイルスワクチン接種の安全性は高いとされています。

妊娠中に接種する場合に適切な時期は?

ワクチン接種のタイミングは、効果に大きく影響します。

 

RSウイルスワクチン(アブリスボ®)の接種可能期間は妊娠24~36週ですが、妊娠28週以降に接種することで、母体から胎児への抗体移行がより効果的に行われるとされています。その為、接種を推奨する時期としては、妊娠28~36週となります。

百日咳ワクチン(三種混合ワクチン:トリビック®)

百日咳とは

百日咳は激しい咳が長期間続く感染症です。大人が感染した場合には、症状は長いものの比較的軽症で済むことがほとんどです。しかし、ワクチンが未接種の乳児が感染した場合、重症化し、命に関わることがあります。

 

2024年の中国での大流行の際は多くの赤ちゃんが命を落としました。また、日本でも2025年に入り感染者が急激に増加しており、生後1か月の乳児が百日咳により亡くなったというニュースが話題になりました。

妊娠中にワクチンを打つメリット

妊娠中に百日咳ワクチン(三種混合ワクチン)を接種することで、お母さんの体の中で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移行します。それにより、赤ちゃんがワクチンを打てるようになる生後3か月になるまでの間、感染を予防することができます。

 

複数の研究にて、妊娠中の百日咳ワクチンを接種した場合、赤ちゃんの百日咳発症を打っていない場合と比較し、8-9割減少させることが示されています。

 

また、日本小児科学会の報告によると、百日咳にかかった赤ちゃんの感染源はきょうだいが22%、母親12%、父親12%**と、家庭内からの感染が多いことも分かっています。きょうだいからの感染が最も多く、幼稚園や保育園、小学校等で流行した場合、子供の感染が避けられないことも多いため、第2子以降の妊娠中には、ワクチン接種のメリットがより大きくなります。

三種混合ワクチン(トリビック®)の安全性は?

百日咳単独のワクチンはなく、百日咳ワクチンは三種混合ワクチンとなります。Tdap(三種混合ワクチン)は、世界的にも多くの妊婦さんへの接種が行われています。

 

多くの臨床研究で、妊娠中にTdap(三種混合ワクチン)を接種しても、早産や流産のリスクは増加せず、先天異常の発生率も変わらないことが示されており、接種による副反応も軽度であり、重篤な副作用はほとんど報告されていません。

 

しかし、日本ではTdap(三種混合ワクチン)が承認されていないため、海外から輸入しない限り接種することはできません。その為、成分の類似したワクチンである、トリビック®(三種混合ワクチン)を打つことになります。これはもともと小児用として開発されたワクチンですが、日本でも成人に接種が認められており、安全性は確立しております。

 

しかし、妊娠中の方への有効性や安全性の臨床データはまだ少ないのが現状です。重い副反応や妊娠への悪影響は報告されておらず、不活化ワクチンであること、Tdapと類似の成分であることから、基本的には安全性は高いと考えて問題ありませんが、現段階では妊娠中に接種が推奨されている状況にはなく、接種するかどうかは医師と相談の上判断して頂く必要があります。

百日咳ワクチン(三種混合ワクチン:トリビック®)を接種するのに適した時期は?

ワクチン接種のタイミングは、効果に大きく影響します。

 

米国疾病予防管理センター(CDC)や米国予防接種諮問委員会(ACIP)は、妊娠27〜36週の間にワクチンを接種することを推奨しています。この時期に接種することで、胎児への抗体移行が最大化され、新生児の百日咳予防に最も効果的です。

まとめ:ワクチン接種で、生まれたての赤ちゃんを守ろう!

妊娠中のワクチン接種は、生まれてくる赤ちゃんにとって最初の“予防接種”ともいえます。


感染リスクが高まっている今だからこそ、正しい知識を持った上で、接種をご希望の場合は、適切な時期が決まっているワクチンになりますので、タイミングを逃さないようにしてください。

 

不安なことや疑問がある方は、かかりつけの医師や助産師にご相談ください。

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