性器ヘルペス
性器ヘルペスとは
単純ヘルペスウイルス(HSV)1型または2型の感染により、性器に浅い潰瘍や水疱が出来る疾患です。一度感染すると、治療後も神経節に潜伏し、疲労や性行為などの刺激によって再発することがあります。
性器ヘルペスの症状
初感染初発型
性的接触後2~10日間の潜伏期間を経て突然症状が出現します。
外陰部に強い痛みを伴う浅い潰瘍もしくは水疱が沢山できます。
38℃以上の発熱や倦怠感、痛みに伴い排尿困難や歩行困難、鼠径リンパ節の腫脹や圧痛、強い頭痛を伴うこともあります。
非初感染初発例
初めて感染した時には無症状で神経節に潜伏していたHSVが、免疫機能が低下した際に再活性化し症状が初めて出現する場合のことを言います。
初感染例と比べると、症状は軽いことが多いです。
再発例
症状は軽く、性器・臀部・大腿部に小さな潰瘍または水疱を数個認めるのみのことも多いです。再発する前に外陰部の違和感や大腿から下肢にかけて神経痛様の痛みなどの前兆を伴う場合もあります。
性器ヘルペスの診断
性器ヘルペスを疑う病変を認めた場合には、病変部位を綿棒でぬぐった液を用いて、抗原検査を行い診断します。検査結果は10~15分程度で出ます。
ただし、この検査で陰性であっても、性器ヘルペスを完全に否定することは出来ないこともあり、状況に応じて血液検査で抗体価を測定します。
性器ヘルペスの治療
抗ヘルペスウイルス薬(ゾビラックス・バルトレックス・ファムビル)の内服が第一選択となります。重症例に対しては点滴療法を行うこともあります。
再発を年に6回以上繰り返す場合や再発時の症状が重い場合には、バルトレックスを1年間毎日服用する、再発抑制療法を行うこともできます。再発抑制療法中に再発した場合は、一時的に内服量を増量します。
また、再発頻度が年3回以上で再発の初期症状を正確に判断できる患者さんに対しては、あらかじめファムビルを処方しておき、初期症状が出現した時点で薬を内服する方法(早期短期治療)もあります。
パートナーに性器ヘルペスの症状がある場合には治療が必要になりますが、感染源と考えられるパートナーの70%は無症候であると言われています。無症候の場合でもウイルスを排泄している可能性があるため、相手に感染させない為にはコンドームの使用が大切です。コンドームを使用した場合でも、肛門・臀部・大腿部に再発することもある為、完全には予防することは出来ませんが、可能な予防策はしっかり取りましょう。