子宮腺筋症
子宮腺筋症とは
子宮腺筋症とは、子宮の筋層内に子宮内膜と同じ組織が出来る病気です。
性成熟期から更年期にかけて好発し、40歳代がピークで、出産経験者に多いと言われています。
子宮腺筋症の原因
原因ははっきりしていませんが、子宮内膜と筋層のバリアが壊れ子宮内膜が子宮筋層に入り込んできたという説や、子宮内膜症病変が子宮の筋層内に入り込んできたという説があります。
エストロゲン依存性のため、治療を行わない限りは、閉経までは病変が大きくなっていきます。
子宮腺筋症の症状
月経困難症と過多月経が2大症状です。
子宮腺筋症の方の79%が、この2つの症状で受診したことをきっかけに診断されています。
子宮腺筋症による自覚症状は、以下の3つに分類されます
- 子宮出血:月経過多、不正出血
- 疼痛:月経痛、慢性痛、性交痛、排便痛
- 妊娠に関するもの:不妊、流産、早産
子宮腺筋症の検査
- 問診
- 血液検査
- 超音波検査
- MRI検査
子宮腺筋症の治療
対症療法
- 鎮痛薬
- 漢方
- 鉄欠乏性貧血に対する鉄剤
低用量ピル
過多月経に対し使用されることがあります。
しかし月経痛・慢性疼痛・子宮腫大に対しての有効性ははっきりしていません。
低用量ピルの特徴と種類についてのページ
黄体ホルモン剤
過多月経、月経痛、慢性疼痛に対し効果があります。
副作用として不正出血の頻度が高く、時に大量に出血することがあるため、注意が必要です。
内服中に不正出血が止まらない場合には、1週間程度休薬することで止まることがあります。
比較的大きな子宮の場合や貧血を認める場合には、まずGnRHアナログで子宮を縮小させ、貧血を改善させてから、黄体ホルモン剤を投与することがあります。
黄体ホルモン剤の特徴と種類についてのページ
GnRHアナログ
抗エストロゲン作用があり、過多月経、月経痛、慢性疼痛、子宮腫大いずれに対しても効果があります。
ただし骨量減少の問題から、使用期間が6か月以内と制限があります。
その為GnRHアナログを半年間使用後に、黄体ホルモン剤やレボノルゲストレル放出子宮内システム(ミレーナ)に切り替えることがあります。
GnRHアナログの特徴と種類についてのページ
レボノルゲストレル放出子宮内システム(ミレーナ)
過多月経、月経痛、慢性疼痛、子宮腫大のいずれにも効果があります。
比較的大きな子宮の場合には、GnRHアナログで子宮を縮小させてから挿入することがあります。
ミレーナの特徴についてのページ
手術療法
唯一の根治療法は子宮摘出術です。
妊娠を希望しない場合には、選択肢の一つになります。